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薬剤師のお勧め|朝起きて気になる喉の痛みに桔梗湯(ききょうとう)

shihanyaku

風邪が流行る季節です。

急な寒暖差で朝起きてみると、喉にエヘン虫。最初は飴でも口に含んで誤魔化していても、だんだん違和感と痛みが強くなってきました。なんだか悪くなりそうな気がします。

かといって、熱はないし、病院に行く時間もないし・・・

そんな時のお話です。

  • 唾も飲み込めないほど喉が痛い
  • 熱が高くて、辛い
  • 喉に加えて体の節々も痛い
  • 芍薬甘草湯(68番)を頻繁に飲んでいる

という症状の場合には、桔梗湯は適しません。

早めに医療機関を受診しましょう。

ちょっと違和感のある喉に桔梗湯(ききょうとう)

医療用の漢方製剤もありますが、おすすめはドラッグストアで広く手に入る「ツムラ漢方桔梗湯(ききょうとう)エキス顆粒」です。

第2類医薬品なので、ドラッグストアで陳列棚からご自身で選んで購入することができます。

もちろん、ドラッグストアに薬剤師が常駐していない早朝・夜間の時間帯にも購入ができます。

軽い違和感だけど、なんとなく悪くなりそう、早く対処したいという場合には、ドラッグストアで購入して速やかに飲むことをお勧めします。

大体900円程度で購入できます。紫色のパッケージが目印です。

「ツムラ漢方桔梗湯エキス顆粒」の使い方

一般的な飲み方

次の量を、少しずつ口中に含み、水またはお湯で、徐々に溶かして飲んでください

年齢1回量1日服用回数
成人(15歳以上)1包(1.875g)2回
7歳以上15歳未満2/3包
4歳以上7歳未満1/2包
2歳以上4歳未満1/3包
2歳未満服用できません
ツムラ漢方桔梗湯エキス顆粒の用法・用量

薬剤師お勧めの飲み方

箱に書かれている説明では、「少しずつ口中に含み」と書いてあります。

これが少し分かりづらい表現です。

皆さんが今、治したいのは「喉」ですよね。したがって、喉にしっかり薬を触れさせる必要があります。

では、どうするかというと、

お湯で桔梗湯を溶かし、ガラガラうがいをして、そのまま飲み込む

という方法を取ります。

ポイントは、ブクブクではなく、ガラガラうがいです。そして、ゆっくりと飲み込みます。

こうすることで、しっかりと桔梗湯が喉の痛いところにくっついて、炎症をしずめてくれます。

注意点としては、熱湯だと「ガラガラうがい」ができないので、熱くない程度のお湯にします。

水でもいいんじゃない?って思いますか?

そうですね、水でもだめではないですが、

  • 水だと溶けにくい漢方薬の顆粒がお湯だとよく溶けて飲みやすい
  • 喉を温めることで、喉の線毛運動(ウイルスなどの外敵を外に出す働き)を回復させる

というメリットがあるので、可能ならお湯で溶かして飲んだほうがいいです。

どれくらいの温度か分かりにくいと思うので、いい飲み方をお知らせします。

ちょうどいい温度のお湯の作り方
  • マグカップに桔梗湯を1回分入れます。
  • 100ml程度の水を入れます。
  • 電子レンジ(600W)で30秒程度温めます(500Wのレンジだと40秒)(熱くなりすぎてしまったら、少し冷水なり氷を入れて薄めます。)
  • 箸でかき混ぜて、薬がある程度溶けたら、うがいして飲み込みます。

600Wのレンジで30秒温めると55〜60℃ほどになります。

自動販売機の温かい飲み物が、55℃程度なので、大体同じくらいの温度です。感覚的にうがいができる温度だとわかると思います。

桔梗湯を飲んだ後は、口の中が少し甘いですが、しばらく間の飲食は避けた方が効果的です。

桔梗湯の副作用は?

ツムラ漢方桔梗湯エキス顆粒の副作用

  1. 消化器症状
    • 食欲不振:食欲がない
    • 胃部不快感:胃がムカムカする、吐き気がするなど
  2. 偽アルドステロン症、ミオパチー
    • 手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、力が入らない、筋肉痛など。だんだん強くなる。

偽アルドステロン症って何?

まず、アルドステロンについて説明します。

アルドステロンというのは、人間の体内に存在するホルモンの一種です。

アルドステロンの働き
  • 体内に塩分と水を溜め込む
  • 体外にカリウムを出す

ことで血圧を上げる働きをするホルモンです。

この「アルドステロンが体内に多くなり過ぎた状態」がアルドステロン症です。症状として、手足の力が抜けたり、血圧が高くなったりします。

一方、「偽アルドステロン症」は体内のアルドステロンが多くないにも関わらず、「アルドステロン症」の状態になっている状態です。

だから、「偽」の「アルドステロン症」なのです。

体内のアルドステロンが多くないにも関わらず、「アルドステロン症」のようになるのが偽アルドステロン症

症状としては、アルドステロン症と同じで、手足の脱力感、筋肉痛、こむら返り、高血圧などが出ます。

偽アルドステロン症って名前が怖いけど…大丈夫?

確かに、名前が仰々しいので、怖い印象を受けますが、発生の原因がはっきりしているので、あまり恐れる必要はありません。

では、原因は何かというと

生薬「甘草(カンゾウ)」が多く含まれる漢方薬を長期間、多量に飲み続けること

カンゾウという名前は聞いたことがあるかもしれません。

リコリスと言われるマメ科の植物の根で、砂糖の200倍も甘みが強いため、甘味料として食品添加物で使用されることもあります(通常、微量なので問題になりません)。

よくあるのが、「芍薬甘草湯(68番)」を大量に処方してもらう患者さん。「あたしよく足がつって、痛いのよー」なんて言いながら連日飲んでいたりします。

桔梗湯を上乗せして飲むのは避けましょう、というか、そもそも芍薬甘草湯を連日で飲むのはやめましょう。

逆にいうと、

喉が痛い時に数日程度桔梗湯を飲むくらいでは、「偽アルドステロン症」の心配はしなくていいです。

参考文献

  • 扇谷陽子・ 相澤 博・ 大谷倫子・ 藤田晃三,2001,「甘草使用食品におけるグリチルリチン酸量」 『札幌市衛研年報』 28:58-63
  • 厚生労働省,2022,『重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症』
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